284.俳句の秋(2006.9.4掲載)
我が郷土の俳句熱はかなり熱く、小学校入学と同時に国語の授業で俳句を作らされる。そして、夏休みの宿題として提出した俳句の中から優秀作品を選び、学校単位で全国規模のコンテストにエントリーするのだ。 幼時より当たり前のように句作を強いられてきたわけだが、これを他県の出身者に話すとかなり驚かれる。「俳句なんて見たことさえないのに、あんたはエライ…」。う〜ん、そんなら「一村一品」的差別化ポイントとして俳句を勉強するべと、先週「第9回俳句甲子園全国大会」を見学に出かけた。 俳句甲子園なんて、青白い文芸部のオタクが集まる弱っちい大会だろうと全く期待していなかったのだが、これが意外と良かった。けっこう体育会系だった。先鋒、次峰、中堅、副将、大将と1作ずつ俳句を披講し交互にディベート。生半可な知識では議論に勝てない。判定後の審査員の講評もかなりきびしい。 不覚にも青春を感じてしまい、俳句を作りたくなった私。まずは図書館に出かけ、プロの作品を鑑賞することにした。とりあえず、兼題として食品が使われている句に絞ってみた。 「太陽は野菜畑にころがしとけ」 こう毎日暑いと、太陽はもういいよと思ってしまう。けど、野菜たちのためには欠かせない光。太陽には、野菜畑でしばらくくつろいでいてもらいたい。 「茄子焼いて冷やしてたましいの話」 この季節、焼き茄子を水につけて皮をむく母親の姿が思い出される。きっとお盆には、ご先祖様の話などしながら皮をむいていたに違いない。 「結局みんなおふくろ定食竹の秋」 なんだかんだ言っても行き着くところはおふくろの味。「竹の秋」は、竹の子に栄養を取られて枯れたように見える竹を指す春の季語。竹の子ご飯かな。 「ふっくらと炊かれて栗も栗虫も」 これからは栗ご飯もいい。秋祭りと栗ご飯はセットだな。栗虫を炊いてしまってもクレームにならない長閑な時代が懐かしい。 「何をくよくよれんこんの穴は穴」 ま、クレームが来てへこんでも仕方ない。悩んだところで、れんこんの穴は消えないし、クレームも無くならない。何とかなるさの境地である。 こんな感じで修行中。 来年はオトナ版の「まる裏 俳句甲子園」にエントリーする予定である。
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