288.つま恋と芋煮会(2006.10.2掲載)
9月23日土曜日、31年ぶりに復活した「つま恋コンサート」の模様がNHKBSハイビジョンで生中継され、午後1時から9時半まで、かぶりつきでかぐや姫と吉田拓郎を堪能した(途中4時から6時まで大相撲中継で中断したが)。 伝説が作られた31年前、私はまだ小学6年生であり、「つま恋」のことはその後中学時代にはまった「かぐや姫のフォークギター教則本」で知った。「夕方から朝の4時半まで歌い続けたつま恋はすごかった」と、あらゆるフォークギター系雑誌で絶賛されていて、私の中で、もう見ることのできない「つま恋」がどんどん膨らんでいった。 そして、今回。観客が5万人から3万5千人に減っても、曲数が109曲から68曲に減っても、観客の平均年齢が21歳から49歳に上がっても、チケットが2500円から15000円に上がっても、やはり「つま恋」はすごかった。南こうせつのクリスタルボイスと31年分の思いで、涙腺はあっさりと決壊したのだった。 週が明けても興奮さめやらず、私は後輩にフォークギターを持参させ、仕事帰りに地元の重信川河川敷で開催中の「芋煮会」に参加した。川原で芋を炊く芋煮会のルーツは、19世紀初頭、山形県の最上川流域に移り住んだ近江商人が、紅花取引の慰労会としてニシンと里芋を煮たのが始まりらしいから、仕事帰りに寄るのはある意味正しい。 しかし、フォークギターは、あまり正しくなかった。当たり前だが弾き語れるような雰囲気では全くなかった。里芋に集中した。 ところで、芋煮会発祥の地、山形では毎年9月に日本一の芋煮会が開かれる(山形市内馬見ヶ崎河川敷)。直径6メートルの大鍋に里芋3トン、牛肉1.2トン、こんにゃく3500枚、ネギ3500本。青空の下、人々が大鍋に列を作る情景は、なんとなく「つま恋」と共通するものがある。 職業柄衛生面が気になった。大鍋から芋をすくうパワーショベルの油圧装置の油、混入するとまずいんじゃないか。 山形在住の同僚に聞いてみた。その日だけ、重機の油も食用油に変更するのだと教えてくれた。
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