289.プチ戦略(2006.10.10掲載)
最近、外食店で1個まるごと食べきりサイズのカボチャをよく見かけるようになった。「ほっこり姫」「プッチーニ」などの品種名が付けられたミニカボチャで、1人分のお皿に1個ずつカボチャをのせられることがうけ、外食産業を中心に市場を拡大している。 他にも、ミニ玉ねぎ、ミニ人参など、プチ野菜全盛。女性客に「かわいい〜」と言わせるための戦略が、種苗メーカーを動かしたのである。 プチ野菜は、わい化剤と呼ばれる農薬を使用して成長を抑えたり、交配で大きくならない品種を開発したりして作られる。いずれにしても、これまでとにかく大きく実らせることを主眼に置いて発展してきた農業が、ここにきて一部軌道修正を余儀なくされているのだ。 「かわいい〜」のひと言をもらうために。 プチ野菜を見ていて、ジャニーズのタレント戦略を思い出した。 かつて経営危機にあったジャニーズ事務所が見事復活したのは、1979年の10月にスタートした「3年B組金八先生」から。この番組でデビューした「たのきんトリオ」に続き、「シブがき隊」「少年隊」「光GENJI」と、ジャニーズの80年代が幕を開けたのである。 ここでのジャニーズの戦略は、「女性や子供に受け入れられやすい、小柄な美少年」。70年代までは、石原プロを中心に大柄な俳優が主流だった。映画全盛期は、大きなスクリーンで映える大柄俳優が好まれたのだ。 しかし、テレビ時代においては小さな画面に収まる小柄な美少年がいい。女優とのツーショットも、フレーム内にうまくはまる。テレビ時代に合わせた喜多川社長のプチ戦略が見事に当たったのである。 1967年に「大きいことはいいことだ〜」と山本直純氏が絶叫した森永エールチョコレートのCMが懐かしい。 さまざまな分野で「かわいい〜」ことがよくなってしまった今日この頃なのである。
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