291.昆布沖縄薬売り(2006.10.23掲載)
飲酒運転報道が騒がしい昨今であるが、先日、読売新聞が都道府県別の飲酒運転取り締まり件数を発表していた。それによると、圧倒的ワースト1位は沖縄県で、免許保有者10万人あたりの取り締まり件数年間1123件。2位の山梨県が388件、最少の岐阜県が107件だから、沖縄のダントツぶりがわかる。 なぜ沖縄なのか。 電車がないという交通網の問題もあるだろうが、私は、飲み会の集合時間に原因があるんじゃないかと思う。過去4回の沖縄訪問のうち3回飲み会に誘われたが、「暑いから」という理由で3回とも夜の11時集合を宣告されたのだ。ほとんど寝る時間じゃないか。 11時に集合して明け方解散の飲み会。クルマで行きたくなる気持ちもわからなくはない。 そんな飲み会で出てきた沖縄料理「クーブイリチー」で、ウチナンチューの名誉挽回。この料理は昆布の細切りと豚肉などを炒め煮にして、時々かつお節をトッピングする定番の郷土料理であるが、沖縄県はこれらの食材、昆布、豚肉、かつお節の消費量がほぼ日本一なのである。 これはすごい。全て健康食材。でもなぜ? 特に昆布が不思議である。昆布が採れるのは三陸海岸より北の地方であり、沖縄には縁もゆかりもないはず。 沖縄に昆布をもたらしたのは、北前船と富山の薬売り。北前船によって北海道から薩摩藩に運ばれた昆布は、琉球を介して清国に輸出され、かわりに漢方薬を輸入。薩摩藩は、この漢方薬を富山の薬売りに卸していた。つまり、琉球は三角貿易の中継点だったのである。 昆布と沖縄と富山の薬売りの不思議な関係に思いを馳せながら、クーブイリチーでちびちび。 その因果だろうか、つい最近、沖縄県は昆布日本一の座を富山県に明け渡したのであった。
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