293.格差の秋(2006.11.6掲載)
ふつうのビールより2〜3割値段が高いプレミアムビールの売上が伸びている。 サッポロ「琥珀ヱビス」、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」、アサヒ「プライムタイム」、キリン「ブラウマイスター」。どれも、350ミリリットル缶で250円前後の高価格ながら、昨年対比1.7倍の伸びらしい(ビール全体に占める割合は7.8%だが)。 平日は第3のビールで耐え、休日にプレミアムビールを愉しむ「一人格差社会族」。ここをターゲットに、量販店も週末にプレミアムビール特売のチラシを打つのだ。 日経ビジネス社が調査した値ごろ感に関するアンケートでも、プレミアムビールを支持する結果が出ている。「気に入った商品ならいくらまで予算オーバーOKか?」という質問で、ビールに関しては「20円から100円UPは可」という回答がほぼ50%に達しているのだ。2人に1人はプレミアム。 ところで、この調査結果の別の項目で気になるフレーズを見つけた。「高所得者ほど子供と愛車にお金を使う」という総括である。 1435人のアンケート回答者を年収500万円未満と1000万円以上に分け、収入の違いによる値ごろ感の違いを各商品で比較した結果、最も開きが大きかったのが進学塾の月謝と自動車。500万円未満グループは月謝12,994円、自動車1,692,300円を適正価格と考え、1000万円以上グループは月謝25,640円、自動車3,223,600円を適正価格と考えているのだ。どちらも1.9倍以上の開きである。 「放課後は土手で虫捕り」「クルマは動けばいい」という自然派と、「ベンツで塾通い」の高慢派。こんな生々しいデータを公表すること自体、格差拡大につながるのに。 ある学者がこんなコメントで格差をあおっていた。 「東大生が美人になる」 高所得男性は財力できれいな奥さんを娶るから、その子女もまた美人。そして、財力で進学塾通いさせて東大合格。だから、格差社会では「東大生が美人になる」というのだ。 う〜ん、こわい。 第3のビールとプレミアムビールを飲み比べながら、格差社会の到来に恐怖を感じる秋なのであった。
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