295.ぜいたくいわし(2006.11.20掲載)
政府は11月14日の閣議で、北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、「ぜいたく品」24品目の北朝鮮への輸出禁止を決めた。この中に食品は「トロ」「牛肉」「キャビア」が含まれていて、金正日総書記の好物だという。 なぜか政府は24という数字が好きだ。かつて、厚生労働省が発表した、表示の対象となる「アレルギー物質を含む特定原材料」も24品目だった(小麦、そば、卵、乳、落花生…)。「ぜいたく品」24品目のかわりに「アレルギー」24品目を輸出するのもいいかもしれない。 ところで、「ぜいたく品」という言葉から連想する食品に、最近イワシが加わってきた。築地市場で1匹1200円の値が付いたとか、キンメダイの2倍の価格で取引されたとか、「イワシ高騰」は、けっこうメジャーなニュースになっている。 事実、漁獲高も1988年の449万トンをピークに激減し、2002年はたったの5万トン。2020年には再び豊漁に転じるというが、原因不明の大不漁だけに、全くあてにならない情報である。 かつて、紫式部は夫の右衛門権佐宣孝の目を盗み、大好物のイワシをこっそり焼いて食べた(当時は低級魚だったらしい)。臭いで気づいた宣孝の、「なぜこのように卑しきものを好み給うものか」というたしなめに対する反論の歌がすばらしい。 「日の本に はやらせ給う石清水 まいらぬ人は あらじとぞ思う」 世の中に石清水八幡宮に参詣しない人などいません=イワシを食べない人などいません、という解釈。 「ぜいたく品」24品目に、ぜひイワシを加えてほしいと思うのである。
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