296.ひとりじめ(2006.11.27掲載)
日本人が魚をひとりじめする時代は終わった。 食糧農業機関(FAO)のまとめによると、この30年間で日本の水産物消費量が1%しか増えていないのに対し、EUは32%増、北米は47%増、そして、中国はなんと5.3倍にも増えているのである。 EUは狂牛病のリスク回避、北米は健康志向、中国は日本食ブームと各々の背景に違いはあるが、世界の魚は、品質基準が甘く、高く買ってくれる欧米中に流れているのである。 安く叩くくせに小うるさい日本市場は、世界の海からつまはじきにされつつある。 特にマグロがやばい。 冷凍キハダマグロの今年9月の平均市場価格は905円で、昨年の5割高。さらに来年から5年間、ミナミマグロの漁獲割当量が3000トンに半減することも相まって、中国とのマグロ争奪戦は避けられない様相なのだ。 日本人に負けないくらい中国人もマグロ好きになった。大繁盛の回転寿司でもマグロの人気はダントツ。爆食中国に勝てるかな。 ここはひとつ、マグロのかわりにアニメで勘弁してもらいたい。 日本人に負けないくらい中国人もアニメ好きである。機器猫(ドラえもん)、龍珠(ドラゴンボール)、寵物小精霊(ポケットモンスター)、櫻桃小丸子(ちびまる子ちゃん)、聡明的一休(一休さん)、足球小将(キャプテン翼)、棒球英豪(タッチ)など、中国でも大人気。日本の人気アニメを優先的に中国に配給し、かわりにマグロを譲ってもらうのだ。 アニメでご機嫌伺いをしなければならないほど、マグロの取り合いは深刻。 日本人が魚をひとりじめする時代は終わったのである。
|
column menu
|