297.ソムリエの底力(2006.12.04掲載)
先日、東京は白金のレストラン「シェ・トモ(chez tomo)」でフレンチを食べ、野菜の味の奥深さに驚嘆した。ほんとうに野菜がおいしかった。 山梨県境川村の有機野菜農家と契約している同店は、自然の野菜が持つ旨味を最大限生かす味付けで有名店にのし上がり、「おいしい野菜を食べるならシェ・トモ」と言われるようになったのである。 この話をJAの野菜部に勤務する従兄弟に熱く語ったところ、「野菜にはまったのなら野菜ソムリエの資格でも取ってみたら」と野菜ソムリエの認定団体である「日本ベジタブル&フルーツマイスター協会」を紹介された。なんだかおもしろそう。 ところが、である。野菜ソムリエの資格を取るための認定講座がバカ高いのだ。初歩のジュニアマイスターが126,000円。中級のマイスターが155,400円。最高位のシニアマイスターになると、735,000円も取られてしまう。初歩からの積み上げ式だから、最終的には約100万円で資格を買うという感じである。 フレンチにありつけなかった従兄弟の嫌がらせかな。 それにしても、これだけの受講料を払って野菜ソムリエになったとして、資格を生かせる仕事があるのだろうか。ワインならともかく、野菜のうんちくでメシを食うのは厳しいと思うのだが。 かつて、ワインソムリエに助けられたことがあった。ワイン通の客人を接待した時、ソムリエが客人のこだわりに耳を傾けながらリクエストに応え、納得のワインを3本、事前に伝えておいた予算ぴったりに出してくれたのだ。これは助かった。ソムリエの存在意義を痛感した。素人の知識では、何十万円かけても通人の意に添うビンテージを出すことなどできない。 将来、日本の食糧自給率がさらに低下し、ビンテージ野菜が登場するようになった時、接待の席で野菜ソムリエが活躍しているかもしれないと思った。
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