303.レトロの真偽(2007.1.22掲載)
開館から10年以上経って、やっと「新横浜ラーメン博物館」を訪ねることができた。地方にも有名ラーメン店が出現する今日だけにラーメン自体には何の感動もなかったが、昭和30年代の街並みのリアルさには感激した。ディテールに抜かりがなく、完璧に幼時にトリップすることができた。 しかし、ここにきて昭和レトロのマーケティングが軌道修正されつつある。昭和30年代は「貧しくても夢と希望に満ちていた時代」ではなく、「ほんとうに貧しくて暗い時代」だったとする考証が浸透してきたのだ。たしかに、旧き良き時代はうまく美化され、虚像が一人歩きするものなのかもしれない。 ならば方向転換ということで、お台場の「台場一丁目商店街」は、設定を昭和30年代から40〜50年代に変更してリニューアルした。また、「三丁目の夕日」に対抗して、1990年の東京が舞台の映画「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」が2月に公開される。 軍配はどの年代に上がるのか。 そこで、真偽の判断材料の1つとして、NHK・BSの新番組「日めくりタイムトラベル」を紹介する。 この番組は、昭和のとある1年に注目し、その年の事件や流行を日めくり形式で完璧によみがえらせる3時間企画。第1回放送は「昭和42年」。昭和42年生まれのタレント数名が調査結果をプレゼンし、昭和42年が青春真っ盛りだったタレント数名がそれにコメントしていた。 ここで拾ったネタを紹介する。 2月、GSの「タイガース」デビュー。タイガースは、すぎやまこういち氏のプロデュースでヒットのシナリオに乗った「モー娘。」みたいな感じのグループ。ボーカルの沢田研二氏を苦々しく思っていたスパイダースのかまやつひろし氏も、裏話を聞いて納得。 7月、リカちゃん人形発売。設定の「香山リカ」は、開発担当者が憧れた香山美子氏から流用。 10月、ツイギー来日でミニスカートブーム。とにかく全員ミニスカートになったのは今考えると異常。このブーム、実は東レの仕掛けだった。 なるほどなるほど。 昭和レトロは虚像か実像か。今後、さらに検証する予定である。
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