309.ギョーカイ用語(2007.3.5掲載)
業界用語といえば、逆さま言葉を連発するTVプロデューサーがコントのネタにされ笑いを取ったりしているが、我々も無意識のうちに業界用語を多用し、どこかで煙たがられているのかもしれない。 先日も、高校の家庭科教諭と食育に関する打ち合わせをしたのだが、帰り際に、「ところでグルソーって何ですか?」という質問を浴びせられてしまった。食品添加物「グルタミン酸ソーダ」の業界用語「グルソー」が、会話の中に数回出てきたというのだ。会話は通じていなかった。 グルソーは家庭用「味の素」に97.5%含まれる主成分であるが、残りの2.5%はイノシン酸やグアニル酸。つまり、グルソー=味の素ではなく、グルソーに代わる言葉はない。だから、ついつい使ってしまう。フランス革命を起こしそうな名前だが、憎めない業界用語なのだ。 そこで、食品系の憎めない業界用語をいくつか紹介する。 「中(なか)」…御徒町界隈の居酒屋で飛び交う焼酎の煮込み系業界用語。甲類焼酎をノンアルコールビールのホッピーで割って飲む際、ホッピーを瓶に半分ほど残しておいて、後で焼酎だけもう1杯おかわりする。この時のオーダーが、「中くださ〜い」なのである。 「サチる(さちる)」…大学の化学系研究室で使われる「飽和させる」の別称。飽和=saturationであることから、「食塩でサチっといて(食塩飽和状態にして)」という感じで使われる。幸せになれそうな業界用語である(幸る)。 「無化調(むかちょう)」…ラーメン業界で使われる「化学調味料無添加」の略称。加工食品の世界では単に「無添加」と略されるが、ラーメン業界ではなぜか無化調となった。ちなみに、化学調味料は商品名を放送できないNHKが考えた造語。 「節粉(ふしこ)」…某大手食品メーカーでは、かつお節粉末のことをこう呼ぶ。「削り粉」「かつお粉」「だし粉」などと呼ぶメーカーは多いが「節粉」は珍しく、この言葉を発した瞬間に所属企業がわかる会社特定系の業界用語。 意思を迅速に伝えるための業界用語は重要である。今後も、部外者から笑われない程度に利用するつもりである。
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