311.外食産業コピー戦争(2007.3.19掲載)
日本のメーカーが中国で商品を販売しようとする時、最初に考えなければならないのがコピー商品(偽物)対策である。クルマ、バイク、パソコンから食品に至るまで、ヒット商品には必ずコピーが存在する。 我が社の主力商品も、中国でのカテゴリーシェア約9割を誇る売れ筋ブランドであるが、悲しいことにその半分以上がコピー商品。つまり、認知されている割に実入りが少ない状態なのである。 では、日本国内ではどうか。さすがに加工食品のコピーはないが、いま、外食産業のコピー戦争が激しさを増している。 外食産業の場合、店名やロゴマークは商標で守られるが、店構え、店内の雰囲気、メニュー、オペレーションなどは商標登録が難しく、繁盛店はすぐに真似されてしまう。最近の紛争事例を紹介する。 スターバックスコーヒーとエクセルシオールカフェ。中央に人魚姫が鎮座する丸い緑のスタバ看板。確かに似たような看板は多い。エクセルシオールカフェは人魚姫ではなくコーヒーカップだが、当初の紛らわしい緑色から青色に看板を変更して和解。 和民と魚民。系列の居酒屋だと勘違いしている人も多いが、和民はワタミで、魚民はモンテローザが経営母体。ワタミが魚民の商標使用を認めて和解。 まいどおおきに食堂とめしや食堂。他にも外観がそっくりなセルフ食堂は多い。バラック風の建物に素朴な墨字の店名。本件は現在係争中。 こんな感じで外食産業コピー戦争は各地で火花を散らしているが、商標どころか特許でオリジナリティを保護している店舗がある。それは、回転寿司のくら寿司(くらコーポレーション)。くら寿司は、1日1万皿流れる寿司の管理システムで特許を取得したのだ。 まず、入店した客の構成をレジ係が入力し、これから15分間で食べるであろう皿数と現在流れている皿数の差を分析する。これで、厨房の無駄が減る。また、皿は2回転で廃棄されるようにプログラムされており、鮮度も保たれる。 ここまでこだわって全皿無添加、全皿100円。これもコピーできない。 くら寿司はいつも満席である。コピーできないからいつも満席なのである。
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