321.おはし、おのこし、ひとりめし(2007.5.28掲載)
内閣府が5月12日に発表した「食育に関する意識調査」によると、「食育」という言葉の意味を正しく知っていた人は33.9%。また、日頃から食育を「実践している」と答えた人は55.8%にとどまっていた。内閣府は、「啓発活動を強化し、食育への関心を高める必要がある」としている。 そこで、「食育」の啓蒙というより「しつけ」の徹底に貢献すべく、家庭で教育すべき食事マナーを標語にしてみた。それが、「おはし、おのこし、ひとりめし」である。 まず、「おはし」。日本スポーツ振興センターの調査によると、箸を正しく持てる小学生の割合は、平成7年の47.7%から、平成12年には44.4%に減少した。箸の持ち方は親が最初にしつける和食の基本。美しく食べる行為だけでなく、刺し箸、寄せ箸、迷い箸などの禁則を知ることで日本人気質が醸成され、文化的背景が学べるのだ。 次に、「おのこし」。現在、日本全体で捨てられている食べ物の量は年間約2千万トン。国民1人あたり170kg。飽食ニッポンよ、いつから「おのこし」が許される国になったのか。食べ終わった煮魚の骨にわずか残った身を、「もったいない」と食べていた母の後ろ姿。あの原風景を忘れたのか。 そして、「ひとりめし」。平成11年のNHKの調査によると、小学5年生の26.4%が朝食を一人で食べていた。大人になったら嫌でも一人で食べる機会が増えるんだ。みんなで囲む食卓を1日の起点にしようではないか。 こんな、「おはし、おのこし、ひとりめし」のしつけを見事に盛り込んだTVドラマがある。日本テレビ土曜夜9時からの「喰いタン2」。 東山紀之氏が演じる喰いしんぼう探偵こと「喰いタン」が、事件を解決する過程で料理を食べまくりながら食に関するうんちくを語り、食事のしつけを伝授する。「いただきます」で始まり「ごちそうさま」で終わる食育サスペンスコメディなのだ。 前シリーズ好評につき「おかわり」となった同番組。土曜夜9時のジャニーズ枠を楽しみながら、食育の基本が学べるすぐれもの。 こんど、内閣府にこっそり教えてあげるつもりである。
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