335.東京人と弥生人(2007.9.10掲載)
この頃、東京に行くたびに思うことがある。 「東京人は身長が高くて足が長い」 実際、東京都の17歳男子の平均身長は171.5cm。対して愛媛県は169.9cm(全国平均は170.9cm)。 う〜ん、やはりそうか。雑踏では180cmくらいないと厳しいな。 足の長さに関するデータはないが、東京人はカッコよく見えるからきっと長いに違いない。足が長いと相対的に上半身が短くなり、内臓部分の比率が下がる。内臓容積が少ないと、寄生虫や病原菌感染のリスクが減り、生命力が増す。だから、ヒトは本能的に足の長い相手に惹かれる。 こんな感じで自身の体型に落ち込みながら新聞を読んでいると、国立歴史民俗博物館西本豊弘先生の身長に関するおもしろい研究が紹介されていた(8月29日読売新聞朝刊)。 「弥生人は豚肉摂取で身長が伸びた」 各時代の男性の平均身長は、縄文時代160cm、弥生時代163cm、鎌倉時代159cm、室町時代157cm、江戸時代155cm、明治時代155cm。たしかに弥生人の身長が高い。これは、弥生時代になって稲作とともに豚が大陸からやってきて、良質の動物性タンパク質を豊富に摂取できるようになったからだとか。これまで野生のイノシシだと思われていた弥生遺跡の頭骨が、西本先生の鑑定で豚と識別されたのだ。 弥生時代に豚は家畜化されていたのである。 ところが、奈良時代に仏教が広まり、殺生が戒められて豚を食べなくなった。以後、豚は野でイノシシとなり、日本人の身長は1200年間低いまま。 そして、現代。豚肉が復活してやっと弥生人の身長を追い越した。特に、東京は豚肉文化圏だから身長の伸びが激しかったのかな。 東京人と弥生人。豚肉でつながるイケメンパラダイス。 そして私は、雑踏に埋もれない180cmを目指し、亥年の大将が営む繁盛店の激ウマ豚バラを今日もつまむのである。
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