336.Qちゃん(2007.9.18掲載)
ときどき、「きゅうりのキューちゃん」が無性に食べたくなる。 とにかくしろめしとの相性が抜群だし、パリパリ食感もいい。もっといいのがネーミング。「きゅうりの醤油漬け」だとなんとなく手が出にくいが、「キューちゃん」はかわいい。思わずご飯に載せてあげたくなる。 きゅうりのキューちゃんが東海漬物の新商品として世に登場したのは、1962年。当時、漬物は店先の樽から小分けして販売するのが普通で、1袋35円の個包装漬物は画期的だった。また、ぬか漬けが主流のきゅうりを醤油漬けにした発想も斬新だった。 その後、時代に合わせて幾度かリニューアルを重ね、10%以上あった塩分を4%まで下げて健康に配慮。常に漬物売場の主役を張る、私と同世代のロングラン商品なのである。 ときどき無性に会いたくなる同世代のロングラン商品が、もう一つある。それは、藤子不二雄先生の「オバケのQ太郎」。 1964年2月28日に少年サンデーで連載が開始され(この日がQちゃんの誕生日)、1965年8月29日からTBS系でテレビ放映された。主題歌の「オバケのQ太郎」は1966年のレコード大賞童謡賞を受賞し、「オバQ音頭」は200万枚を売り上げた。レコードも単行本も、いまだにネット市場を賑わせている。 恥ずかしながら、幼時、Qちゃんを愛していた私は、夜ごと「オバQ音頭」B面の「オバケのQ太郎」を聞いてから、Qちゃんのビニール製フィギアを抱いて眠りについていたのだった。 キューちゃんもQちゃんも、ヒットした最大の要因は「きゅ〜」という切ない発音にあるような気がする。両者のネーミングには何の関係もないが、どちらも、なんだか切ない。切ないから食べたくなる。切ないから会いたくなる。 しかし、オバケのQ太郎というタイトルの由来は意外なところにあった。 それは、藤子不二雄先生が小田急線でアニメスタジオに通勤していた時に、ひらめいたらしい。 小田急→オバQ→オバケのQ太郎。 センチメンタルジャーニーは、新宿発なのである。
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