357.短所のかわし方(2008.02.18掲載)
またぞろ2009年度入社の就職活動が活発化してきた。学生諸君の人生を左右する瞬間だけに、面接には真剣に立ち向かわなければならないと思う反面、短所を尋ねる質問に対しての教科書的回答にがっかりするのも事実である。 「あなたの短所は何ですか?」 「集中するとまわりが見えなくなることです」 短所を述べつつ、「自分には集中力がある」ということを伝える優等生回答。他に、「責任感が強すぎで物事を抱え込んでしまうことです」と「責任感の強さ」をアピールしたり、「忘れっぽいのでメモを取るようにしています」と短所の解決策を抱き合わせたり。 全てマニュアル化されているトークで、就活者なら誰でも答えられるうんざりな定型句である。とは言うものの、本当の短所を正直に答えてしまうと決定的なマイナスポイントとなるわけで、駆け引きは微妙なのだ。 加工食品にも短所をかわすセールストークがある。 日持ちのしない商品は、賞味期間の短さを生鮮食品的鮮度感に置き換え、「フレッシュだからお早めにお召し上がりください」。 色あせ、色変わりする商品は天然感をアピールし、「保存料無添加なので退色することがあります」。 味や香りにクセのある商品は、短所が長所に変わる不思議を訴え、「存在感のある複雑な風味。なぜだかクセになります」。 原料高で個包装、少量化を余儀なくされた商品は、食べ残しの無駄がなくなるメリットを訴求し、「単身独身者向けの食べきりサイズ」。 就活者のことを笑えない苦肉のコピーであるが、特徴のある顔のアイドルほどファンは離れないというから、短所をキャラクターと捉え、前向きに売り込んでいきたいと思う。 正露丸はくさいから効き、にんにくはくさいから旨いのである。
|
column menu
|