359.キレない若者(2008.03.3掲載)
本年1月14日付の読売新聞朝刊で、「『反抗』にあこがれぬ若者」という特集記事を読んだ。 ハンカチ王子などの「王子」ブームで不思議なのは、イケメンの優等生を同世代の男子が応援することだとか。女性や親たちがほめたたえるのはよく分かるが、夜の渋谷を闊歩する男子たちの口から、「あの活躍はすごい」「同世代の誇り」「彼らの活躍が励みになる」と賞賛のコメントが出ることには違和感をおぼえる。 読売新聞村田記者の「かつて若者、特に男子は、既存の価値観を壊す同世代人を支持したのではなかったか」とのコメントに、迷わず合点した。 思えば高校の文化祭、ライブで人だかりができたのは「生徒手帳なんか破っちまえ」と青い絶叫で拳を上げるロッカーであって、おしゃれで歌のうまいデュオでは決してなかった。 父親世代は「太陽族」や「カミナリ族」、兄貴世代は「全共闘」、そして自身は「竹の子族」や「尾崎豊」。反抗や反体制が生の証だった世代と、「フェミ男」世代、「王子」世代の違いは一体何なのか。 精神科医の香山リカ氏は記事の中で、「教師や父親が優しくなり、彼らには脅威ではなくなった」「大人は自分のために何か協力してくれる存在。ならば、それを利用しない手はない。尾崎みたいに生きるのは損だと考える」と解説する。 ならば軟弱ついでに、キレない若者を育成したい。キレないためにはカルシウム摂取より、まずは缶コーヒーや清涼飲料水由来の糖分摂取の制限である。 一度に大量の糖分を摂ると、上昇した血糖値を抑えるためにインシュリンが大量に分泌され血糖値が急低下。生命の危険を感じた体は、生命維持に関係する脳幹部分に優先して糖分を回す。よって、理性をつかさどる大脳皮質には糖分が回らず、キレてしまうのだ。 反抗せず、キレない若者。物わかりのいい社会の中心に、どれほどのパワーが潜んでいるのか。負のパワーを経済成長に昇華させた反骨世代が、興味津々で見守っているのである。
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