360.白もの(2008.03.10掲載)
クルマのディーラーに勤める知人が、2つの販売教訓をよく口にする。 「金持ちにクルマを売るのが一番難しい」 「景気が悪くなると白、黒、シルバーのクルマがよく売れる」 前者は正解だと思う。 ケチで渋くてせこいから金持ちになれたわけで、そんな強者が何百万円もの買い物をするのだから、商談には相当の覚悟が必要となる。 しかし、後者は少しあやしい。 ガリバー自動車研究所がまとめたGDPの伸び率とクルマのボディカラーの相関を見ると、全く逆の傾向になっている。つまり、GDPの伸び率が低下すると増えるのは色付きのクルマであって、白、黒、シルバーのクルマが売れるのはGDPの伸び率が上昇する好景気の時なのである。 同研究所によると、白、黒、シルバーなどの無彩色系は高級セダンの定番色であり、景気がよくなると輸入車を含めた高級セダンが売れ、無彩色ボディが街にあふれるらしい(特にベンツは白とシルバーが多い)。 食品業界ではどうか。 業界の定説は「景気が悪くなると白ものが増える」であり、ここでの白ものは「白めし」と「うどん」のこと。白めしさえあれば、漬物、ふりかけ、納豆、佃煮なんかを添えておかずいらず。低コストで満腹感が得られる素うどんもいい。 とはいうものの、景気低迷時に白もの関連食材の売り上げが伸びるということでは決してなく、おかずを減らして常備の漬物やふりかけでごまかすだけ。敢えて言うなら、厳しい状況でも減らされない不況に強い食材か。 無彩色ボディのクルマだけでなく、白もの家電や美白化粧品が絶好調の今日。巷の景気は上向きなのかもしれないが、苦難続きの食品業界は未だ浮上できず。 白めしと素うどんの日々なのである。
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