361.高いことはいいことだ(2008.03.17掲載)
2月29日放送の朝日放送「探偵ナイトスクープ」で、関西人は「関西電気保安協会」という単語をメロディなしでは読めない、という小ネタが紹介されていた。 同協会CMソングの刷り込みが強烈で、道行く人すべてが「かんさい〜でんきほ〜あんきょ〜かい」と節付きでしか読めなかった。普通に読もうと努力しても、メロディが付いてしまうらしいのだ。 四国人である私は、このCMソングを知らない。だから、「かんさいでんきほあんきょうかい」と普通に読める。 私にとってのメロディ付きフレーズの代表は、「大きいことはいいことだ」。 ご存知、森永エールチョコレートのCMコピーで、故山本直純氏が気球に乗ってオーバーアクションで歌っていた。「お〜きい〜ことはい〜ことだ〜」というフレーズが今でも耳に焼き付いて離れず、普通に「おおきいことは…」と読むことができない。 1967年〜68年頃流れていた経済成長の権化ともいえるこのCMは、他社の板チョコが30円〜40円の時代に、ひとまわり大きな板チョコを50円で販売するお徳用戦略だった。 森永製菓の当時のコメントは、「今までの日本は、小さな幸せ、慎ましやかな幸せが美徳とされてきた。これまでにない速さで経済大国の道を歩みつつあるこれからは、もっとのびのびと胸を張って、大きいことはいいことだと主張しよう」だった。 読むだけでまぶしいじゃないか。 この40年前のすばらしき強気戦略へのオマージュとして、昨今の原料高騰に起因する値上げトークを考えてみた。 「今までの加工食品は、とにかく低価格が美徳とされていた。これまでにない速さで景気が後退するこれからは、もっとのびのびと胸を張って、高いことはいいことだと主張しよう」 資源不足、食糧不足を解決するための循環型社会を生き抜くには、いっぱい稼いでみんなで分配するしかないのである。 「た〜かい〜ことはい〜ことだ〜」 自身でエールを贈って開き直るしかない非常事態なのである。
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