376.さまざまな言語(2008.06.30掲載)
職場の近くにあるコンビニエンスストアは、県内でも有数の売り上げを誇る繁盛店。少し大きめの店舗にいつも人が一杯で、ものすごくはやっている…。 こんな幼稚な表現をして、上司のカミナリを喰らったことがある。それは、文中に数字が全く出てこないから。ビジネスマンの言語は数字であり、数字があるからこそ客観的な評価が下せる。 冒頭の文章をビジネス表現で書き換えるとこうなる。 職場から100メートル程の所にあるコンビニエンスストアは、県内第3位の売り上げを誇る繁盛店。通常より15坪広い50坪の店舗で、来店者数は1日1000人。1日の売り上げ70万円は、同社の平均より10万円多い。 ビジネスマンの言語は数字である。 とすると、科学者の言語は何か。言うまでもなく、化学式や公式である。 世の中のあらゆる自然現象を化学式で語り、公式でひもとく。そうすることによって、大自然の摂理が人類の進歩のお手本となり、教科書として科学の発展に寄与するのだ。 科学者の言語を使うには、物事を物質レベルで捉える習慣が重要である。 例えば、部活の合宿で熟睡中の主将の顔に塗って大変なことになったサロメチールの主成分はサリチル酸メチルで、サリチル酸とメタノールを反応させて作る。ついでに、サリチル酸と無水酢酸から作るのが、バファリンの優しくない方の成分であるアスピリン。 食事のおいしさだって化学式で語れる。3日前に食べた讃岐うどんのだしは、かつおと昆布の合わせだし。かつお節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果で、1+1=6(だし算)になるおいしいだし。 イノシン酸とグルタミン酸を同時に摂ると旨味が増す理由は、いまだに謎。ただ、同時に摂ると旨いから脳が両者を求め、結果、動物性食材(かつお節)と植物性食材(昆布)をバランスよく摂取できる。つまりは造物主のはからい。 こんな風に、考えすぎるとわけがわからなくなるが、とにかく科学者が科学者たる所以は、化学式や公式という世界共通の言語を使いこなせる点にあるはず。 昼夜表裏を問わず、さまざまな分野の言語を身につけたいと思うのである。
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