389.フユウソウガール(2008.10.6掲載)
昨年、山の手お嬢様と結婚した同郷の知人が、「感覚が違いすぎる」と嘆いていた。 そんなこと当たり前である。 高校の部活帰りに、裏門そばにある駄菓子屋の肉まんをつまむことが日課だったカントリーボーイと、寄り道する青山通りのカフェのチョイスに悩んでいたフユウソウガールの人生が交わったこと自体奇蹟なのだから。 日曜日に自転車でサッカーの対外試合に出かけた話をしても、父親のクルーザーに友人を招待した話で返されるのだから、思い出話もけっこうかみ合わないらしい。もちろん彼女に悪気はないのだが。 そんな、想像さえもできない未来の富裕層が都会にはいるわけで、そこをターゲットにした販売戦略を百貨店業界一人勝ちの伊勢丹が打ち出した。都内の私立大学と付属高校に通うお嬢様(18〜22歳)を狙った売場を作り、イセタンガールと名付けたのだ。 伊勢丹本店の商圏内にある私立大生と付属高生が約9万人。このうちの2割がファッションに興味がある層と想定し、その3分の1の6千人が顧客となれば、フロア売上高の4分の1が確保できるらしい。 イセタンガール5ヶ条がおもしろい。 1.黒髪に合う、高感度なリアルクローズ…日本人の女の子が一番きれいに見えるファッション。 2.「洗練されたクラシック×カワイイ」がとても好き…親が共感するトラディショナルな要素と友達からもカワイイといわれるセンス。 3.「チープ&シック」「ハイ&ロー」…お金をかけるものにはしっかりかける。 でも安くてカワイイものも大好き。 4.場面(シーン)演出主義…TPOに応じてファッションスタイリングを変化させる価値観。 5.お嬢様な不良…お嬢様は不良になれるが、不良はお嬢様になれない。 件の知人が5ヶ条目を見たら、落ち込むこと間違いなしである。 若き日にいきがっていた世間知らずにとって、けっこうきついフレーズなのである。
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