390.プレゼンの神様(2008.10.14掲載)
最近の商談は、パワーポイントを使用したプレゼンテーションが常態化しており、商品力や企業力を企画書1本でカバーできる時代になってきている。 そこで差がつくのは凝ったスライドや動画ではなく、聴衆を引き付ける絶妙なトーク術。ならばその真髄を学ばんと、さまざまな生きた教材をネタに食品業界のプレゼンに合うテクニックを模索してみた。 落語で臨機応変を学ぶ… 寄席には演目がない。噺家は、その場の客席の空気でネタを決める。もちろん後輩が先に演じたネタは使えない。この変化への対応力が商談で役に立つのではないか。 プレゼンルームで商談のはずが、バックヤードで立ち話。スーパーの常連主婦対象の講演が、出入り業者のおっさん相手の商品説明に変更。1時間の持ち時間が、20分に短縮…。こんな変化は日常的に発生する。寄席に行くと、どんな状況にも対応しつつ、1回も噛まない噺家の話術を学べるのだ。 テレビショッピングで笑顔を学ぶ… ジャパネットたかたの高田社長がすごいのは、押し出しの効く声で会社の勢いを伝え、訛りのあるイントネーションで誠実さを伝えながら、笑顔でお茶の間を和ませるから。これがなかなかできない。 普通は、気合いを入れれば入れるほど恐い顔になって、聴き手が引いてしまう。一生懸命はいいが、熱いのは敬遠される。押し出しながら引き付けて、伝えながら和ませることが通販プロのトークなのだ。この笑顔は、テレビショッピングやデパートの催事を見て盗むしかない。 子供電話相談室で説得力を学ぶ… 「親切」っていい言葉なのに、どうして「親を切る」と書くのですか?小学校4年生の女の子の質問にラジオの向こうの先生は、それはね、下から読んで「切に親しい」という意味があるからなんだよ、と答えた。少女の人生を変えたかもしれない感動的な名回答だった。 製造技術にこだわるあまり、誰からも理解されない商品特徴になっていないか?短いキャッチコピーで商品力をアピールできるか?小学生を説得できない商品は、競争激しい売場の中で埋もれてしまうこと必至。ラジオにかじりついて、小学生のハートをつかむ練習をしよう。 以上、3教材。 プレゼンの神様は、学び続けるところに降りてくるのである。
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