399.軽減税率とかつお節(2008.12.15掲載)
景気低迷による税収減と高齢化社会に対応する財源確保の観点から、近い将来、消費税二ケタ時代が必ずやってくる。 その際、我々食品業界に大きく関わってくるのが軽減税率。つまり、生活に必要な食品の消費税を低く抑える措置である。食品メーカーにとってはプラスの制度であるが、各企業の思惑が交錯し、主力商品が生活必需品か贅沢品かでもめることは想像に難くない。 各国の食品における軽減税率混迷事例を紹介する。 英国の場合。パン、ビスケット、ケーキは生活必需品で税率0%。一方、チョコレート、キャンディ、ガムは贅沢品で17.5%。チョコレートが半分以上かかったビスケットも贅沢品で、17.5%。ただし、オレンジジャムとチョコレートがかかった直径5センチほどの「ジャファケーキ」は、メーカー側が裁判に勝ち、税率0%。 フランスの場合。バターは軽減税率で5.5%だが、マーガリンは対象外で19.6%。これは、マーガリンが贅沢品だからではなく、バターを製造する酪農家の保護が真の目的らしい。 ドイツの場合。マクドナルドのハンバーガーを店内で食べると標準税率の19%だが、持ち帰ると7%に低減。外食は贅沢だから?同様にカナダのドーナツショップでは、6個以上ドーナツを買うと持ち帰りとみなされ、5%の標準税率が0%になる。 これらの事例を見ただけでも、軽減税率の対象範囲には誰もが納得する合理性が必要であることがわかる。 かつお節はどうかな。 和食にだしは必須だから軽減税率の対象だとは思うが、だしの素に比べると本格的だから贅沢品と見なされるかもしれない。また、だしとして使用する場合は軽減されるがトッピングとしての使用は対象外、なんて不条理な線引きになったりしたら一大事。 古くは律令時代に、租庸調の税として納められていた由緒正しきかつお節。 軽減税率制度に翻弄されないことを願うばかりである。
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