409.肉食男子(2009.3.02掲載)
最近、昔の映画をよく見る。昔の映画がおもしろいのは映像がシンプルで時間がゆっくり流れるから、とよく言われるが、個人的には男優のかっこよさに尽きるのではないかと思う。 昔の男優は「肉食男子」だった。 恋愛に貪欲で、酒と女とクルマを愛し、おいしい物をたっぷり食べる。もちろん外見は超男前だから、スクリーンで映える。 酒場の1人酒が似合いすぎる「カサブランカ(1942)」のハンフリー・ボガート。寝台列車でヒロインを口説く強引さが下品に見えない「北北西に進路を取れ(1959)」のゲーリー・クーパー。無口でむさくるしい浪人に男を感じた「椿三十郎(1962)」の三船敏郎。シングルファーザーの威厳と優しさを演じた「アラバマ物語(1962)」のグレゴリー・ベック。よれよれの革ジャンに憧れた「大脱走(1963)」のスティーブ・マックイーン。家族と食卓を囲むシーンでドンの風格を漂わせた「ゴットファーザー(1972)」のマーロン・ブランド。 どの男優も二枚目でありながら熱くて強くて濃い、肉食男子なのだ。 くしくも日本男子は、深澤真紀氏が「平成男子図鑑」で提唱した「草食男子」全盛である。 恋愛にもクルマにも興味がなく、酒もほどほどで部屋にいる方が好きな繊細男子。Y染色体が減少傾向にあり、男性が女性化する昨今、草食男子の台頭は自然な成り行きかもしれないが、せめてスクリーンの中では肉食でいてもらいたいと思う。 そんなことを考えながらある雑誌をめくっていると、市川海老蔵さんの対談記事が目にとまった。 「酒と肉と魚を断ったら女性にもてるようになった」 さすが生粋の色男は違う。海老蔵さんを見ていると、「草食」は自信のない軟弱男子の言い訳に過ぎないことがわかる。 日本男児よ、巣ごもりを捨て外に出よう。遠慮せず色と欲を出していこう。 熱い男を求める時代が、必ずやってくると思うのである。
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