411.責任重大エリア戦略(2009.3.16掲載)
近年、外食チェーンやコンビニなどで、地域に根ざした地産地消メニューが脚光を浴びているが、加工食品業界でも古くから地区対応の商品開発を行ってきた。 「日清のどん兵衛」は東西で、「マルちゃんの赤いきつねと緑のたぬき」は北海道、東日本、関西、西日本でスープの味を変えており、「ミツカンのすし酢」は中四国地方で販売しているタイプが最も甘い。 また、地域限定のロングセラー商品に幼い頃から親しんで育った場合、上京して初めてそれが故郷の味だったことに気づいたりする。 明治製菓の「麦茶ジャーミー(沖縄)」「おでん横丁(九州北部)」、ヤマザキナビスコの「ラングドシャ(大阪)」、サッポロ飲料の「リボンナポリン(北海道)」、日本ミルクコミュニティの「ソフトカツゲン(北海道)」等々。懐かしさのあまり帰省時にケース買い、という話をよく聞く。 ところで、食品業界から話は離れるが、幼時より愛用していた学校がらみの単語のうち、東京で通じないものがいくつかあるということを最近知り、軽いカルチャーショックを受けた。 まず、白い大きな紙のことをトリノコヨーシ(鳥の子洋紙)と呼んでいたが、これは愛媛、香川、沖縄でしか通じない。共通語は模造紙。ちなみに、山形ではオーバンシ(大判紙)、長崎、熊本ではヒロヨーシ(広用紙)、新潟ではタイヨーシ(大用紙)、富山ではガンピ(雁皮)、岐阜、愛知ではビーシ(B紙)となるらしい。 また、黒板消しをラーフルと呼べば愛媛、宮崎、鹿児島出身、授業と授業の間の休み時間をホーカと言えば愛知出身、通学区域が校区や学区でなく校下(こうか)になると北陸、岐阜出身であることがばれてしまう。 これらは文具メーカーの地域戦略か、はたまた教育委員会のこだわりか。 企業のエリアマーケティング戦略が、多感な少年少女に偏った味覚と学舎の思い出を刷り込む。 責任重大な販売戦略なのである。
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