425.テレビっ子(2009.6.22掲載)
先日、ある読者の方から、本稿第410号「幻想居酒屋」で書いたウサギとカメの教訓話に超同感!とのありがたいコメントをいただいた。 ウサギとカメの寓話で当然勝つはずのウサギが負けたのは、ウサギが「カメに勝つ」という間違った目標設定をしたから、というネタである。 昔話は教訓の宝庫である。 意外なことに、テレビドラマも教訓の宝庫である。 幼時よりテレビ漬けの日々を重ね、挙げ句45歳になってもテレビなしでは生きていけないテレビっ子は、睡眠時間を削ってかじりついたドラマから珠玉の教訓3本を探り当てた。 その1.2008年6月21日放送NHK「監査法人」第2話 ダーティな監査法人理事長篠原(橋爪功)に対し、「そんなことをして幸せですか」と理想を熱く語る会計士高杉(塚本高史)。篠原はこう言って現実を語り、冷たく突き放した。 「幸福は心の問題、成功は金と権力の問題。成功者で理想のまま一生を終えた人間など一人もいない」 その2.2005年7月15日放送TBS「ドラゴン桜」第2話 家庭の事情で愛用のトランペットを3万円で質に入れた勇介(山下智久)に対し、桜木(阿部寛)が東大受験を煽る。日本に残された最後の平等である受験で勝負し、搾取する側に回れば人生は変わると。 「買うときに搾取され、売るときに搾取され、常に弱者は搾取される」 その3.2007年5月14日放送フジテレビ「プロポーズ大作戦」第5話 吉田礼(長澤まさみ)に思いを寄せつつも煮え切らず、行動を起こせない岩瀬健(山下智久)に対し、田舎から上京してきた礼の祖父大志(夏八木勲)が活を入れる。 「明日やろうは馬鹿野郎」 以上、ドラマ由来の教訓3つ。重いか軽いかは受け手次第。 とにかく、「テレビばっかり見ているとバカになる」「テレビは離れて見なさい」等の小言と共に成長したテレビっ子が、結局離れられずに今日まで来てしまったということなのである。
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