429.ガラパゴス(2009.7.21掲載)
現代の日本が抱える産業上の問題に、「ガラパゴス化現象」というキーワードがあることを知った。 ガラパゴス化とは、日本人にのみ理解されるマニアックな技術や過剰なサービスが国内で独自の進化を遂げ、逆に国際競争力を低めている事例らしい。もちろん、名前の由来は、絶海の孤島で特異な生態系を形成したガラパゴス諸島である。 その最たる例が携帯電話。世界最先端の技術を詰め込みながら、電波規格の問題などから海外では全く売れない。あの小型ボディに1000万画素のカメラを持ち、「007」さながらの指紋認証セキュリティシステムを備えているというのに…(爆睡中の旦那の指を使ってロック解除し中身を盗み見るガラパゴスの住人にとっては、たいした技術ではないのかもしれないが)。 このガラパゴス化を上手く世界にPRして、産業に生かそうとする動きがある。慶応大学の夏野教授は、ハイブリッド車やゲーム機をお手本にしたガラパゴス商品の国際化戦略を策定中なのだ。 指定制服のない学校に着ていく「なんちゃって制服」が外国人にも売れ、インクの技術開発でサインが偽造できない「三菱鉛筆シグノ207」が海外で圧倒的シェアを誇る。予備軍はまだまだ控えているぞ。 思うに、ガラパゴス化はオタク文化の発展系であり、サブカルチャーの産業的帰結のような気がする。商品もサービスも飽和状態の現代社会において、その隙間に商機を見いだすにはオタク目線が欠かせないのだ。 日本が鎖国を解いて150年経った今、精神的鎖国状態ともいえるオタク文化のおかげで外国人がわんさかやってくる。 ガラパゴス諸島よろしく、秋葉原も数千年後には世界遺産に登録される日が来るかもしれないと思った。
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