431.かりゆしの夜(2009.8.3掲載)
沖縄にやってきた。 とりあえず沖縄減塩食の実態調査ということで、郷土料理を爆食した。 そうめんちゃんぷるー、ゴーヤちゃんぷるー、ふーちゃんぷるー、グルクン(県魚)のから揚げ、海ぶどう、豆腐よう(島豆腐の発酵品)、島らっきょ、スクガラス(あいごの稚魚の塩辛)、ラフテー(豚の角煮)、そーきそば…。 確かに、だしが濃い。ラードも濃い。ただ、あまりの暑さと浴び続けた泡盛のせいで、塩分の実態はよくつかめなかった。 沖縄は本当に暑い。事前情報で最高気温32℃程度と聞いてなめていたら、快晴なのに湿度90%という異常な蒸し暑さにやられた。スーツ着用には無理があった。 「アロハシャツを着てくれば良かった〜」とこぼしたら、「これはアロハではない、かりゆしウェアだ」と得意先の社長にたしなめられた。沖縄では、4〜11月の間、かりゆしウェアが正装となるらしい。「アロハとかりゆしの違いは何?」「かりゆしウェアは、沖縄県産で沖縄観光をPRするデザイン」。 なるほど、産地限定なんだ。 ちなみに、アロハシャツのオリジンも日本である。ハワイに移民した日本人が、着物を仕立て直してシャツにしたのが始まり。1935年に「アロハシャツ」という名称を初めて使用して広告を出したのも、日系人経営の「ムサシヤ」という店である。 そういや、宇宙飛行士の若田光一さんが宇宙ステーションの中で着ていた船内服も、日本製だった。水道もシャワーも洗濯機もない宇宙ステーションの中で、長期間快適に過ごすための汚れず臭わないポリエステル繊維。縫い目と縫い代のない、無縫製の技術を利用している。 やはり、郷に入れば郷の服に従うべきである。 とりあえず、地味めのかりゆしウェアを1着購入。その後、ホテルに帰って見たローカルニュースのトップは、「イリオモテヤマネコ、クルマにひかれる」だった。 郷に入れば郷のニュースなのである。
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