439.メタボ万歳(2009.10.05掲載)
おいしいちゃんこ鍋が食べたくなり、1年ぶりに錦糸町の「力士料理琴ヶ梅」の暖簾をくぐった。 激ウマの水晶鍋を思いっきり食べて、雑炊で締めて、デザートも完食。ふだんはメタボを気にして腹八分目の日々であるが、体重160kgの琴ヶ梅さんを見ていると、不思議と安心して爆食できた。そして、これが正解であることがわかったのだ。 老化研究の第一人者である桜美林大の柴田博教授によると、質素な食事で一生懸命働けば長生きするという「粗食長寿説」には、何の根拠もないらしい。昭和30年代の貧しい和食こそヘルシーと主張する学者もいるが、昭和35年の日本人の平均寿命は男性65.32歳、女性70.19歳で、先進国の中では下位だった。 その後、昭和40年頃から肉、牛乳、乳製品の摂取が増え食の欧米化が進んだが、米という主食のおかげで「行きすぎた欧米化」には至らず、昭和50年代の半ばにちょうどいいバランスとなり、長寿世界一を獲得したのである。 つまり、昭和50年以降の和食こそ最もヘルシーなのだ。昭和52年に405人だった100歳以上人口が、現在4万人なのだから間違いない。 ところが、昨今の間違った「痩せ信奉」の影響で、日本人の平均摂取熱量が減少している(昭和55年比20%減)。これは異例である。小太りの方が長生きするという論文が次々と発表されているのに、である。 ちょっとぽっちゃりの方がいいのにね。 家で質素に野菜鍋もいいが、たまには外へ出て本格ちゃんこを堪能しよう。力士気分で鍋をつつくとなんだか自信がわいてくるし、気が入るような感じもある。もちろん、メタボのことも全く気にならない。 両国での大相撲観戦も然り。現場の観客は朝青龍関から気をもらっているのだ。家で寝転がってテレビ観戦している時には批判的だったガッツポーズも、生で見ると大歓迎。朝青龍関は観客のことを一番に考えている力士だと思う。 朝青龍関とちゃんこ鍋とメタボ万歳なのである。
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