444.発毛最前線(2009.11.9掲載)
2007年の日本薬学会で、ライオン株式会社が「オキナワモズク抽出物を塗布すると発毛回復の効果がある」と発表して以来、ほとんどの沖縄モズクの商品紹介に「発毛」のコピーがつくようになった。 幼時、母に言われた「ひじきを食べると髪の毛が黒くなる」という食卓の常套句も、あながち外れではなかったのかもしれない。 そこで、発毛と脱毛に関する俗説を検証してみた。 毛穴に脂がたまると毛が抜けやすい…× 髪の毛が作られるのは頭皮から7〜8ミリ奥で、シャンプーは届かない。だから、洗髪が週1回程度だった昭和30年代も、朝シャンまでしてしまう現代も、抜け毛の程度に変わりはない。 欧米人には薄毛が多い…○ 男性型脱毛症の発症率は日本人で3人に1人だが、欧米人だと2人に1人と高い。ちなみに中国人は5人に1人。 エロい人は毛が薄い…△ この俗説を統計で証明しようとした人がいたが、有意差があったのは、「薄毛の人には胃ガンが少ない」という意味不明な因果関係のみ。ただ、エロの核心が男性ホルモンだとしたら、エロと薄毛の関係は無視できない。 男性型脱毛症の原因は、男性ホルモンなのだから。 フィナステリド…○ その男性ホルモンの働きを阻害し、脱毛を阻止する内服薬がフィナステリド(商品名「プロペシア」)。臨床試験では服用1年後に58%、2年後に68%、3年後には78%の患者さんに脱毛の改善が見られた。医師の処方箋が必要ではあるが、現時点で史上最強の毛生え薬である。 髪には生命や力が宿る…○ 神から怪力を授かったヘブライ人のサムソンが、その力を使ってイスラエルを支配するペリシテ人と戦っていた。しかし、ペリシテ人のデリラという娘に恋をしたため、怪力の秘密がその長い髪にあることを探り出され、髪を剃られて力を奪われてしまうのだ。 ヤンキーも、停学のペナルティで坊主頭になると一時的にパワーが落ちる。 剃髪は旧約聖書に端を発する懲罰なのである。
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