446.究極の要因(2009.11.24掲載)
今月、読売新聞朝刊で特集されていた「長寿の科学」より、最新の長寿情報を紹介したい。 「やや太めvsカロリー制限」 小太り=長寿は最近の定説である。厚労省が40歳以上の宮城県民5万人を12年間追跡調査した結果でも、やや太り気味が長寿で、やせは短命。40歳時点の平均余命で6〜7年もの差があった(やや太め:BMI値25以上30未満、やせ:BMI値18.5未満)。 ところが、米ウィスコンシン大の研究では、摂取カロリーを3割減らした餌でアカゲザルを20年間飼育したところ、糖尿病や心臓疾患、ガンなどが半減。加齢に伴う脳の萎縮も少なく、見た目も若々しかった。 低カロリーの小太りが理想型か。 「格差寿命」 山口大の福田教授の研究によると、収入や学歴、居住環境など社会経済水準の低い市町村ほど、男性の不慮の事故、自殺、脳卒中の死亡率が高かった。 古いネタだが、本コラム2002年6月10日号「短命線」で、東京の京浜東北線沿線は短命、東急東横線沿線は長寿と紹介したことがあった。かつて、蕨−御徒町間を通勤していた筆者は、短命でも京浜東北線が好きだ。 「楽しい生活」 琉球大の白井准教授らは40〜69歳の男女9万人を12年間追跡調査して、生活を楽しむ意識が低い男性は、高い男性に比べ、脳卒中死亡率が1.75倍、心筋梗塞死亡率が1.91倍高いという結果を得た。 1990年代のソ連崩壊と経済の混乱で、ロシア男性の寿命が短くなったらしいが、急速な民主化で雪の降る夜のペチカを楽しめなかったか。 「早すぎた徐福」 今から2200年前、秦の始皇帝の命を受けた徐福は不老長寿の妙薬を日本に求めた。2009年7月、米ジャクソン研究所などのグループは、「ラパマイシン」という薬でマウスの寿命を28〜38%延ばすことに成功した。まずは徐福さんにお届けしたい薬である。 「究極の要因」 双子の高齢者を30年間研究している大阪大の早川教授曰く。よく似た双子の片方だけが早く亡くなるケースを何度も見た。様々な要素を調べたが、最も関連していそうなのは、配偶者の性格だった。 食事から相方の性格まで、家庭内にはリスクが充満しているのである。
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