447.食場(2009.11.30掲載)
職場の「食」事情が変わってきている。 この20年間で、「昼食は外で取る」という人の割合が60%から18%に激減した。景気低迷による人員削減と給与カットで、時間もカネも節約せざるを得なくなったのだ。 また、会社がデスクでの間食を公認するようになり、それを見越した江崎グリコの置き菓子「オフィスグリコ」の設置数が10万8000台にまで伸びた。こちらは、お菓子をつまむことによる気分転換やコミュニケーション向上につながる前向きな変化である。 コクヨRDIセンター主幹研究員の齋藤敦子氏はこう解説する。かつては「作業の場」であった職場が、今は創造性を発揮して社員が「仕事を生み出す場」となっている。経営者が職場の「食場化」を容認するのも、これと無関係ではない。 ちなみに、職場ではどんなお菓子が受けているのか、千趣会が展開する置き菓子「ちょこたべBOX」の売れ筋ランキングを見てみた。 1位チップスターミニ(ヤマザキナビスコ)、2位スーパーフレッシュ柿の種(亀田製菓)、3位海苔ピーパック(亀田製菓)、4位スープヌードル(日清食品)、5位ポリッピー・スパイス(でん六)。意外に米菓が多いな。 手軽につまめて指先が汚れないことが職場需要の必要条件だと思うが、ランキング商品は結構指先に調味料がつくぞ。 昭和55年、日がな一日麻雀に明け暮れた高校時代、お菓子の選択には苦労した。ポテトチップスは塩、源氏パイは砂糖、おにぎりせんべいは醤油が指先につき、麻雀牌が塩牌、砂糖牌、ねちょ牌になってくっついてしまうのだ。 あれから30年、平成のオフィスで塩マウスやねちょマウスを気にするようになるとは、何とも不思議な時代感である。 そして、センチメンタルジャーニーの締めくくりは麦チョコ。麻雀高校生時代、試行錯誤の果てにたどり着いた麦パフとチョコのコラボは、手も牌もマウスも汚さない傑作なのだ。 麦チョコが食場の主役になる日は近い。
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