452.ぞうさん(2010.1.12掲載)
日経産業地域研究所が、小売店のバイヤーを対象に調査した「地域ブランド力指標の総合ランキング」をまとめた。地域の特産品人気ランキングのようなものである。 1位…山形サクランボ(偏差値75.8)、2位…博多あまおう(74.4)、3位…讃岐うどん(73.5)、4位…魚沼米(73.3)、4位…宮崎完熟マンゴー(73.3)、6位…揖保の糸(73.0)、7位…なると金時(71.9)、8位…南高梅(70.3)、9位…薩摩焼酎(70.0)、10位…静岡茶(68.2)。 わが郷里の愛媛みかんは偏差値63.9で20位以内にも入れず、13位有田みかん(偏差値67.4)の後塵を拝した。 愛媛みかんブランドはかなり浸透していると思っていたのだが、意外と弱かった。ひねるとみかんジュースが出てくる蛇口を空港ロビーに設置したり、みかんジュースでご飯を炊くみかんピラフを給食に登場させたりと、自治体レベルではユニークなPRを行っているのに。 いや、奇をてらったことが裏目に出たか。 蛇口ジュースは何となく清潔感がないし、みかんピラフは予想以上にまずい。話題性ではなく、真っ向勝負こそがブランドの王道なのだ。 ふと、詩人のまどみちおさんが、自身の作品である童謡「ぞうさん」について語っていたことを思い出した。 ぞうさんぞうさん おはながながいのね そうよかあさんもながいのよ 「象に向かって『鼻が長いのね』と問いかけることは『おまえは変わっている』と言うに等しい。しかし、象は卑屈にならず『大好きなお母さんと同じだよ』と胸を張って言葉を返すのです」 すばらしい。この短い歌詞に込められた愛と勇気に感動した。まどさんの解釈を聞いた後、幼稚園児たちが懸命に「ぞうさん」を歌う姿に目頭が熱くなった。 「愛媛の冬はこたつにみかんです。大好きなお母さんも毎日食べています」 これでいいではないか。
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