454.業界天気予報(2010.1.25掲載)
食品新聞が正月4日号に掲載していた「‘10主要品目天気予報」を見た。この1年の業界動向を、天気予報形式で予測するものである。 鍋つゆ…快晴。市場規模約200億円。量販店の鍋つゆ売場は、野菜、鮮魚、精肉という生鮮コーナーに定番の棚を加えて全部で4ヶ所。乱立にもかかわらず、景気低迷による内食回帰で絶好調である。このあおりで焼肉のたれ、すき焼きのたれが「うす日」の予報。 ウイスキー…曇りところにより晴れ。1983年から減少を続けていたウイスキー市場が、2009年は前年比5%増。ハイボールのみ好調ということで「ところにより晴れ」なのである。 家庭用塩…雨。1人1日当たりの食塩摂取量は、1996年の13gに対し、2007年10.6gと激減。厚生労働省が減塩を指導しているのだから、当然の荒天である。 気圧配置をにらんで空模様を予想しつつ、自身の立ち位置を確認する。平野部にいるのか、盆地か、はたまた山か海か。山の天気は変わりやすく、海風はきつい。 くしくも同じ正月4日、ひとり天気図を眺め、七大陸最高峰の単独無酸素登頂に挑戦する栗城史多(くりきのぶかず)さんが、NHKの特番「7サミット極限への挑戦」で紹介されていた。 栗城さんは東京でのニート生活から一念発起し、初挑戦ながら22歳でマッキンリーの単独登頂に成功した。その後、エベレスト以外の6つを制覇して現在27歳。ビデオカメラを持参し、踏破の様子をインターネット中継することで有名になった。 この中継がむちゃくちゃ感動ものなのだ。生身の青年が自然と対峙し、辛苦を乗り越え登頂に成功する。その「冒険の共有」に涙し、うつ病から立ち直った人もいるらしい。 私も目が覚めた。登山の経験は全くないが、栗城さんから一歩踏み出す勇気をもらった。そして、ぬくぬくと平野部で雲行きを眺める日常を恥じた。 2010年は、成績不振を不況のせいにだけはすまいと誓ったのである。
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