460.最初の袋麺(2010.3.8掲載)
中国人は最初に井戸を掘った人の恩を忘れない。 だから、最初に中国市場を開拓した商品はその恩に報いるべく優遇され、 絶対的なシェアを獲得する。自動車では、1984年から現地生産に取り組 んだフォルクスワーゲンが最初の井戸である。 昭和人は最初に食べた袋麺の味を忘れない。 だから、最初に我が食卓に登場した袋麺はその懐かしさゆえ優遇され、絶 対的なポジションを獲得する。私にとっては明星食品の「チャルメラ」が最 初の袋麺である。 もちろん、チャルメラにこだわる必然性は何もないのだが、パッケージの チャルメラおじさんのズボンに「つぎあて」があった時代から刷り込まれた 味だけに、1972年におじさんのズボンが新調されようが、2006年に 日清食品の傘下に入ろうが、私にとっての袋麺はチャルメラだけなのだ。 他に、日清食品の「チキンラーメン」、サンヨー食品の「サッポロ一番」、 徳島製粉の「金ちゃんラーメン」を胸に抱いて育った人たちがいるわけで、 昭和の食卓における袋麺の味は、ダジャレではなく「お袋の味」なのである。 そして、東洋水産とエースコックは海外でお袋の味となった。 メキシコで、東洋水産の「マルちゃん」を知らない人はいない。国家的規 模の人気商品「MARUCHAN」は、現地で通じる日本語の1つである。 一方のエースコックは「フォー」の国ベトナムで大成功。「ハオハオ」と いう袋麺が市場を席巻し、現地の8工場をフル稼働させている。 やはり最初の袋麺は重要である。 では、件の中国で最初に井戸を掘った袋麺はどのブランドだったのか。知 り合いの中国人に聞くと、台湾の「康師傳(カンシーフー)」だとか。 シェア47%、年間65億食と不動の地位を築いた「康師傳」。ビジネス モデルのお手本となる加工食品である。 ================================================================ 康師傳の売れ筋商品は「牛肉面(麺)」だそうです。
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