471.物は言いよう(2010.5.24掲載)
今から5、6年前、日本でエコブームが盛り上がりを見せ始めた頃、倹約志向で消費が冷え込むことを懸念したマーケティングの専門家たちは、ロハス(LOHAS=健康と環境を志向するライフスタイル)という米国生まれの造語でエコを購買活動に結びつけようとした。 米国では2兆円規模といわれるロハス市場も、日本では定義自体があいまいでビジネスとしての魅力も今ひとつだが、言葉を紡いで市場を動かそうとしたマーケッターの執念は凄いと思う。 そんな、逆境をプラスに変える最近の市場用語をいくつか紹介する。 「投資者」 いわゆる草食男子の消費行動は極めて女性的で、男らしさの演出は不要。体臭や肌荒れ、カロリーなどを気にしつつサプリメントを摂取。そして、女性の消費特徴だった「自分へのごほうび」を購入する。 そこで、彼らを消費者ではなく投資者と称し、自分への投資活動を促進させ、市場を活性化するのである。 「プチ贅沢」 1億総倹約時代の贅沢は、プラス300円。桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」や、マクドナルドの「クオーターパウンダー」がヒットしたのは、プラス300円でささやかな贅沢が味わえる点にある。 かわいいことに弱い日本人の心をくすぐる「プチ」という響きと、さほど家計に影響しない300円の贅沢が市場にはまったのである。 「生活をマネジメント」 深夜営業のスーパーで第3のビールをケース買いしたり、ドラッグストアの特売で冷凍食品を漁ったりする独身男性が増えた。ひと昔前なら賢い主婦の独壇場だったこれらの購買活動に、独身男性が目覚めたのである。 元来、ケチな男性は女性に嫌われるものであるが、不況真っ只中の昨今では、「生活をマネジメントできる」と婚活に有利らしい。 物は言いようという感もあるが、低成長時代に市場を創造する知恵者の工夫には脱帽するばかりである。 ================================================================ 市場用語情報の出典は、日経新商品ウォッチャー2010年5月号です。
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