475.亜熱帯商戦(2010.6.21掲載)
地球温暖化の影響で日本周辺の海水温が上昇し、近海漁業に影響が出始めている(2010年6月13日付読売新聞朝刊より)。 過去100年間で日本海中部は1.7度、東シナ海は1.3度海面水温が高くなった。結果、日本海でサワラが豊漁となり、1998年に0.1tだった青森県のサワラ漁獲量が、2008年には187tに急増。また、暖かい年に増えるスルメイカも各地で大獲れである。 しかし、高水温にはマイナス面もある。変温動物である魚は水温が上がると代謝も高まり、多くの餌が必要になる。海藻が食い荒らされ、アワビやイセエビの隠れ家である藻場がなくなってしまうのだ。 それと、あまり知られてないことだが、元来、海面水温が低い方が魚は増えやすい。海面近くの海水が冷えて重くなり、水深100〜200m付近の栄養価の高い海水と入れ替わる「鉛直循環」が起こるからだ。なるほど、北国の魚が旨いのは、そういうことか。 一方、地上に目を向けると、過去100年間で東京の気温は3.1度、大阪の気温は2.4度上昇した。特に東京は暑い。夏の東京都心は熱帯モンスーン気候のバンコクより暑いといわれている。よって、スコールが起きても全く不思議ではない。 すっかり亜熱帯化してしまったこの環境を、ビジネスに生かす動きがある。 旭化成ホームズは、ゲリラ豪雨に強い住宅として1階部分に居室を設けず、柱だけで構成する3階建て住宅の売り上げを伸ばしている。総合住宅展示場を避け、水害危険地域の住宅街に展示するリアル演出が奏功したらしい。 また、フマキラーは、温暖化で害虫が増え昨対107%と伸長を続ける殺虫剤市場に注力。インドネシアで販売している「日本より5倍強い蚊」をターゲットにした殺虫剤を、日本向けに改良中だとか。 海にせよ陸にせよ、我々も温暖化を商機と捉えねばならない。まずは、亜熱帯料理の繁盛店調査から始めようと思うのである。 ================================================================ 亜熱帯ビジネス情報の出典は、「Fole」2010年6月号です。
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