496.時代劇(2010.11.22掲載)
11月10日付の読売新聞朝刊で、「民放時代劇冬の時代」というコラムを読んだ。マンネリ化や制作費の高さが災いして、現在民放で放映中のレギュラー時代劇が「水戸黄門」のみになってしまったらしい。 コラム内に、全盛期とされる1976年5月の民放時代劇一覧表が掲載されていたのだが、「子連れ狼」「銭形平次」「必殺仕業人」など、中学坊主が楽しみにしていたタイトルが合計14本も並んでいた(再放送含む)。 この激減傾向を歓迎する知人がいた。日本在住25年のインドネシア人、H氏である。日本文化に精通し、日本語も完璧なH氏であるが、時代劇は言葉も時代背景も全く理解できないらしい。 「拙者、それがし、おぬし等の人称代名詞は日本語学校で習っていません」 「隠密、参勤交代、尊皇攘夷。単語の意味が分かりません」 なるほど、日本人なら小学生でもわかる単語のため、特に劇中の解説なく話が進行してしまう。外国人にとって、時代劇は我々が思っている以上にハードルの高い文化なのかもしれない。 かく言う小生も、昔の映画を見ていて時代背景が理解しづらいシーンに出くわすことがある。 先日も、1963年公開の「伊豆の踊子」を見て驚いた。学生服姿の高橋英樹さん演じる一高生が踊り子一座に合流し、上げ膳据え膳勝手気ままな温泉旅行の超VIP状態だったのだ。 一高生のブランドはすごかった。ヒロイン吉永小百合さんが「一高生と踊り子じゃ釣り合わない」と語るシーンが印象的だった。 川端康成が「伊豆の踊子」を発表した1926年当時のエリートコースは、尋常小学校6年→旧制中学校5年→旧制高校3年→旧制大学4年となる(ほとんどが尋常小学校6年→高等小学校2年で就職)。一高は最難関の旧制高校で、現在の東大教養部。後に東京帝大と合体して現在の東大となった。 旧学制には、高等小学校、高等女学校、実業高校、大学予科、高等師範学校などのオプションがあり、さらに戦時下では陸軍士官学校や海軍兵学校がコースに加わる。 ちょっと前の歴史を勉強して、一高生がちやほやされる理由がなんとなくわかった。 H氏ではないが、教科書で習わない時代は、なかなかストーリーに入り込めないのである。 ================================================================ 旧学制を勉強すると、年配の方と話がかみ合います。
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