498.3大旬祭り(2010.12.06掲載)
11月15日配信の本稿495号「走り、盛り、名残」で野菜や魚の旬の話を紹介し、皆様の食欲をサポートさせてもらったが、一部の食いしん坊チームから「主食がない」とのおしかりを頂戴した。 そこで、新米、新そば、新酒の3大旬祭りである。 新米 JAS法では、収穫した年の12月31日までに精米して包装されたものを新米と定義している。精米後、ふっくらおいしく食べられる期間は冬場なら2ヶ月、夏場は2週間。 ふっくら感の敵は、乾燥と酸化。よって、お米をペットボトルに入れて冷蔵庫で保管すると劣化が抑えられる。 塩や砂糖の冷蔵庫保管を新米主婦の奇行としてネタにすることがあるが、新米こそ冷蔵庫がベターなのである。 「新米にまだ草の実の匂ひかな」 与謝蕪村 新そば この時期東京のそば屋さんに行くと、かけそばで暖まった後、おかわりのざるそばで新そばの香りをじっくり堪能する客に出くわす。おしゃれである。粋である。通である。 やはり香りは夏そばの「夏新」より秋そばの「秋新」が上。さらに少し寝かせて12月中旬頃がベストフレーバーか。しかし、昼間っから熱燗と新そばで通人を気取るには、まだまだ修行が足んない。 「新蕎麦やいつも待たねばならぬ店」 稲畑汀子 新酒 酒造業界の会計年度は毎年7月から翌年の6月までであり、一般的にはその年度内に醸造して出荷されたものが新酒となる。しかし、最近はやりの「冷やおろし」は、寒仕込み、夏熟成の秋出荷。年度を越えるが、酒蔵の軒先に杉玉を吊す新酒扱いである。 「八兵衛が破顔微笑やことし酒」 小林一茶 11月の第3木曜日に若いワインでお祭り騒ぎも悪くはないが、新米、新そば、新酒でお腹いっぱいの主食三昧もぜひおすすめしたいのである。 ================================================================ 旬情報の出典は「フレンドリーコミュニケーション」2010年8・9月号です。
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