499.コメ1石(2010.12.13掲載)
以前、江戸時代の旅を体感すべく日本橋から1里(4km)の距離を歩こうとしたことがあった。歩いて1時間の距離が1里とされている通り、30分経過時点で半里(2km)。ここでギブアップした。 そこで、次のネタとしてコメである。江戸時代の石高計算基準によると、大人1人が1年間に食べるコメの量が1石で、1石のコメが収穫できる田んぼの広さが1反(10アール)らしい。 1石=100升=1000合だから、1年間に1000合。つまり、1日に1人で2.7合コメを食べるという計算になる。お茶碗約6杯。これもギブアップである。 本当にコメを食べなくなった。平均すると1日お茶碗2杯。日本人として情けないが、1合炊けば十分なのだ。日本のコメの収穫量も、私の成長に合わせてこの40年で約4割減ってしまった。 このようなコメ離れに呼応して、政府は米粉用や飼料用など主食以外のコメづくりに補助金を出してきた。1反あたり8万円である。ただ、これらのコメの収穫量は全体の0.4%とまだまだ少ない。 飼料用のコメで商品の差別化に成功したのが養鶏業。コメを食べた鶏の卵は黄身が白っぽく、味も独特のコクがあるらしい。 さらに有望株がコメを原料としたバイオエタノール。生産性はトウモロコシと比べて遜色なく、コメ1石から約67リットルのエタノールが取れる。しかし、補助金頼みという採算面の課題と、コメを燃料に仕向けるのはもったいないというイメージの問題は残ったままである。 67リットルのエタノールを国の基準上限である3%配合してできるバイオガソリンは、2233リットル。満タン40回分。 やはりコメ1石は、1年分の糧として人の腹におさめるべきではないかと思った次第である。 ================================================================ 飼料米情報の出典は、日経新聞2009年11月26日朝刊です。
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