538.プレゼンの教科書(2011.9.26掲載)
パワーポイントの出現で、プレゼンテーションが一気に楽になった。テンプレートをインクでなぞる手書き時代に1時間を要していた1枚のスライド作りが、今や数分。しかもフルカラー。 このような1億総プレゼン時代に、他社と差をつけるプレゼン技法は何か。教科書やお手本はあるのか。 現時点でのおすすめ「教科書」を3つ紹介する(3つめは手遅れだが)。 「落語」 米国のプレゼン指導者ガー・レイノルズは自著「シンプルプレゼン」の中で、「落語家は昔から続く日本の伝統芸能を継承するすばらしいプレゼンターです」と語っている。 スライドなし、資料なし、もちろん試食なし。扇子と手ぬぐいだけであらゆる状況設定を作り出し、聴衆をしばし江戸時代の横丁に連れて行ってくれる。そして、「まくら(前振り)」→「ネタ(演目)」→「サゲ(落ち)」という落語の定石はプレゼンも同じ。最初のつかみで顧客を引きつけ、提案内容を披露して結論で締める。 とにかく寄席に行ってみるといい。最高の話術が学べて2800円は安い。 「テレビショッピング」 プレゼンに必要な力量は説得力ではなく相手に納得してもらう「納得力」で、それは「信頼感」「情熱」「論理性」から成り立っている。 これを実践しているのがテレビショッピング。ちょっと訛りのある口調ながら滑舌は最高。なぜ安いかを熱く論理的に語ることで消費者は安心し、納得して受話器を手に取るのだ。 「修学旅行プレゼン」 今年、東大に70人の生徒を送り込んだ都内の某中高一貫校では、中学時に修学旅行プランのプレゼン大会がある。行程、予算、コンセプトなどを盛り込んだプレゼンが通れば、好きなグループで好きな場所へ好きな期間旅行できるのだ。 こんな中学生が将来社会に出て熾烈なプレゼン世界に参戦してくるわけだから、田舎のハンディは大きい。もう手遅れだが、若き日の修学旅行プレゼンは最高の実践教材だと思う。 以上3点、とりあえず寄席通いが続きそうな今日この頃である。 ================================================================ ガー・レイノルズ著「シンプルプレゼン」は、日経BP社発行です。
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