540.ビジネスゴロ(2011.10.11掲載)
日本人は物事をゴロ合わせで覚えるのが大好きである。 誰もが中学時に「鳴くよウグイス平安京」で794年を暗記し、高校に上がると「リヤカーなきK村動力」でリチウム=赤、ナトリウム=黄、カリウム=紫、銅=緑という炎色反応を諳んじた。 最近だと、ゴロで覚える古文の解釈が流行らしく、「こぼちゃんつっぱり皿壊す…こぼつ=壊す」てなファンキーなフレーズも飛び交っているのだ。 サラリーマンの宿命ともいえる幹部研修でもゴロ合わせが大活躍。いくつか事例を紹介する。 PDCA…「Plan→Do→Check→Action」。これぞビジネスゴロの定番。「計画→実行→評価→改善」というサイクルを回すことで、事業の質が継続的に向上する。ただ、PDCA自体はゴロになっていない。 3K2D…「カン、コツ、経験、度胸、妥協」という悪い仕事の進め方の頭文字を、マンションの間取りのようなゴロで覚える。不動産業界必携かな。 チャチャチャ…躍進企業の共通点は「チェンジ、チャンス、チャレンジ」。変化に対応し、勝機を逃がさず、挑戦し続けるというキーワードを体育会系でゴロ合わせ。 アイウエオチップス…誰かが意識を失って倒れた時の原因を推測する医療系ゴロ合わせ。Alcohol(急性アルコール中毒)、Insulin(低血糖症)、Uremia(尿毒症)、Encephalopathy(脳症)、O2(低酸素症)、Temperature(体温異常)、Infection(感染症)、Psychogenic(精神疾患)、Stroke(脳出血)。まったく覚えられない。 人材VSOP…「Vitality、Sensibility、Originality、Professional」。優れた人材とは、活気に溢れ、感受性に富み、独自性を持ち、その道のプロであること。これを満たす人材が「人財」になるというオマケ付き。ただし、VSOPがゴロになるのは昭和まで。ブランデーどころかアルコール自体を忌避する草食系にとって、VSOPはゴロでも何でもない。 以上5例。試験のために覚えるゴロではないという点がミソであり、難点でもある。コンサル先生は正解のないビジネス道の道標だというが、果たしてどうかな。 今度、コンサルも驚くビジネスゴロを作ってみようと思った次第である。 ================================================================ アイウエオチップスの出典は、日経ビジネス2010年12月20日号です。
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