548.水とお札と100円ショップ(2011.12.5掲載)
先日、韓国からの客人3人を接待した際「初めて日本に来た時感動したこと」という話になった。三者三様のビジネスネタがあった。 まず、王さん。 水がおいしいことに感動した。1日に1リットル前後摂取する飲料水がおいしいのは当然だが、300リットル消費する風呂やトイレ等の水も十分おいしい。森が豊かだからかな。日本の森林率68.2%はフィンランドの73.9%に次いで世界第2位。 ならば、100兆円市場といわれる「水ビジネス」に参入すべく水道事業を民営化してはどうか。日本の上下水道事業は世界最高水準の漏水率3%。十分世界で勝負できる。 日本でミネラルウォーター市場が急成長したと言っても2000億円程度。対して上水道の決算規模が4兆円。水ビジネスは、水道の仕組みごと売り込む事業なのだ。 次に、全さん。 とにかくお札がきれい。日本国内に134億枚(81兆円)流通している日本銀行券を、日銀がシビアに管理しているからだ。お札の平均寿命は5千円と千円が1〜2年、1万円が4〜5年。美しい紙幣を流通させることで偽札が見分けやすくなり、日本の偽札発生率は100万枚あたり0.3枚と驚異的に低い(ちなみに英国は207枚)。最近では被災したお札の交換に力を入れ、8月末までに日銀が引き替えた被災紙幣は43万枚。 紙幣製造技術の輸出は難しいが印刷技術そのものは十分に世界的価値がある。 そして、金さん。 初めて100円ショップに行ってパニックになった。約7万アイテムの全てが100円で、毎月1000アイテムの新商品が出るわけだから訪日の度に訪れても飽きることがない。中には粗利が5%程度の目玉商品もある。お土産は免税店より100円ショップ。 しかし、嬉々として買って帰った100円乾電池がよく見ると韓国製だった。 おいしい水、きれいなお札、驚きの100円。 隣国からの垂涎の視線は意外だったが、ビジネスにつなげるたくましさを学んだ夜であった。 ================================================================ 紙幣情報の出典は、「にちぎん」2011年第27号です。
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