564.普及指導員(2012.4.9掲載)
農家の技術指導や経営相談を行う「普及指導員」を生業とする知人が、「オランダの普及指導員はすごい」とメールで絶叫していた。農業先進国のオランダを視察してきたらしいのだ。 日本の普及指導員制度は農地改革後の1948年に導入され、途上国状態で貧しかった農家の生活改善と食糧増産に貢献した。しかし経済発展を遂げた今日、当時のままの普及指導員制度は明らかに時代錯誤。最新の育種、種苗技術や海外事情に明るい普及指導員を求める農業経営者にとって、現行の制度は物足りないものとなっている。 一方のオランダは、1970年代中頃に普及指導員制度を民営化した。技術指導や経営相談の有料化に反対はあったが、競争原理の下で技術レベルは格段に向上。結果、オランダは農産物輸出金額で米国に次ぐ世界第2位となったのである。 例えばトマト。日本の収量は1平方メートルあたり約5kgだが、オランダは1平方メートルあたり50kg。自然条件を差し引いても違いすぎる。 そこで、しびれを切らして自ら民間コンサルの指導を仰ぐ人たちもいる。北海道のSRUという農業経営者グループは、各自の畑の土壌サンプルをコンサルに送付し、その分析値をもとに土壌改良の処方せんを作ってもらっている。コンサル料を払っても、年間100万円単位で肥料代を軽減でき、収量や品質向上も実現しているらしい。 やはり民営化だな。 国家資格である普及指導員の試験問題を解いてみた。 「我が国の農業青年クラブ(4Hクラブ)の活動項目の具体的な活動内容の説明について、最も不適切なものを選びなさい」という設問があった。 正解である最も不適切な活動内容の説明は、「地域づくり活動…生産技術についての研修、海外農業研修生の受入など」であった。 よくわからない問題だった。 やはり民営化が必要だと思った。 ================================================================ 普及指導員情報の出典は、「WEDGE」2012年4月号です。
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