578.瑛太先生(2012.7.16掲載)
瑛太先生 先日、大阪のとある小学校の依頼で、かつお節に関する出前授業をやらせてもらう機会があった。小学6年生を対象にした食育授業である。 これまで、出前授業といえば高校、大学での経験しかなく、小6坊主にどういうスタンスで対峙すればいいのか全くわからない。そこで、事前に従兄弟の小学校教諭にレクチャーを受けた。 従兄弟曰く、「小6生のハートを掴むポイントは3つ。お笑いタレントのギャグ、体を動かす実習、クイズと景品」。なるほど。この3つの武器で、45分授業に臨むことにした。 お笑いタレントのギャグ…授業を実施した平成24年7月時点の旬は、紛れもなく「スギちゃん」。かつお節の原料がカツオであることを紹介するくだりで、鮮魚のカツオを抱えて「ワイルドだろ〜」。バカ受け。掴みよし。 体を動かす実習…続いてかつお節を削って花かつおにする実習。4人1組の給食グループに分かれ、かつお節削り機でキコキコ削る(モンスターペアレントが怖いので、絶対に手を削るなと釘を刺す)。グループ間の競争意識も働き、大騒ぎであっという間にかつお節1本削ってしまう。全員笑顔で削りたての花かつおを頬張る。「めっちゃおいしいで」。 クイズと景品…小学校の授業において、どんなジャンルでもクイズは鉄板の小道具らしい。第1問、花かつおの厚さと同じモノは次のうちどれでしょう?コピー用紙、サランラップ、ティッシュペーパー。元気よく手が挙がる。正解者に景品を配るとボルテージは最高潮。うまくいった。 調子に乗ってクイズを続ける。元気よく手を挙げる生徒を中心に授業は進む。景品山盛りの元気くんに「いいぞ、その調子」。 すると、Tシャツとハーフパンツが似合うイケメンの担任(俳優の瑛太そっくり)が、元気くんの景品の1つをそっと隣の女子の机に移動させ、背中をポンと叩いた。後で助手を務めた後輩に聞くと、その女子は1問も正解がなく、寂しそうにうつむいていたという。 あぁ、これが真の教育か。瑛太先生がめちゃくちゃたのもしく見えた。押しつけがましくなく、困難を乗り越える手助けをした瑛太先生。いいなあ。 小学生と瑛太先生に心洗われた、貴重な一日であった。
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