585.クモとバッタ(2012.9.10掲載)
先日、同世代の客人を接待した際、「仮面ライダー1号」の話で宴席が盛り上がった。 主役の本郷猛を演じる藤岡弘が地元愛媛県出身であること。ライダーカード欲しさに仮面ライダースナックを箱買いする金持ち息子がいたこと。そして、そんな金持ちのおかげで、1袋20円の仮面ライダースナックの売上げが年間100億円に達したこと等々。 話題の中で、なぜ第1話の悪役がクモ男になったのかという話になった。第2話がコウモリ男、第3話がサソリ男だが、確かにクモ男が一番弱そうである。議論の結果、「仮面ライダーのモデルはバッタであり、バッタにとって一番身近な天敵がクモだから」という仮説に落ち着いた。 クモとバッタの関係は仮面ライダーにとどまらず、生態学の最新研究でも取り上げられている。イスラエルのホーレナ博士の研究によると、バッタがクモに睨まれると、ストレスで体内の化学組成が変化し、生態系全体に影響を及ぼすというのだ。 口を接着剤で貼り合わせ、捕食できないようにしたクモをバッタのいる野外のケージに入れ、バッタにストレスをかける。そして、最終的にバッタが死んだ後、死骸を土に入れて生分解させる。この土に藁を加えて分解速度を調べたところ、ストレスのないバッタを入れた土の半分しか藁が分解されなかったらしい。 メカニズムはこうだ。バッタがストレスを受けるとエネルギー必要量が増え、タンパク質より炭水化物を多く食べるようになる。結果、体内の窒素分が減少し、生分解後の土壌窒素分も減少。土壌微生物の代謝に影響を与えたということだ。 客人に気を遣った後は、打ち上げのラーメン。なるほど、ストレスで炭水化物に走るから太るのか。 クモに睨まれたバッタを教訓にして、炭水化物ダイエットに励む所存である。
|
column menu
|