594.メイド・イン・ジャパン(2012.11.12掲載)
10月27日、28日の二夜連続で放送されたNHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」で、日本の家電メーカーの現状と課題がクローズアップされていた。 国家を支えてきた「日の丸家電」の凋落には、大きな3つの真因があったのだ。 その1.巨大化してしまった家電メーカーが抱える多くの工場とその従業員が、膨大な固定費として経営を圧迫した。→アップル社は自社工場を持たないOEM生産で身軽な経営。 その2.著作権を大事にしすぎて音楽ソフトの自由度がなかった。→アップルストアで気軽に楽曲を購入。 その3.顧客のニーズを掴まず、持てあます技術を過剰な機能として家電に盛り込み、価格競争力を失ってしまった。→サムスン、ハイアールは販売国での徹底した市場調査で真の顧客満足を追求。 そして、NHKが説く「逆襲のシナリオ」とは、「プロデューサー」の存在。持てる技術を駆使して的確に顧客ニーズに応え市場にあった価格で商品を販売する、という全体像が描けるプロデューサーである。 すでに成功事例はある。インド人の色彩感覚に合わせて青と赤が強調されるテレビを現地向けに開発したソニーは、サムスンを抜いてインドのトップブランドとなった。青と赤を強調する技術がサムスンにはなかったのだ。 そんな日の丸家電の教訓を、食品業界でも活かさなければならない。 メーカーとしての自社製造にこだわりつつ、変化に対応できるOEM生産体制を整備する。レシピの死守も大事だが、時には公開して市場の拡大を後押しする。苦労して極めた特許製法を一度白紙に戻し、本当に顧客が求めている要件をオリジナル技術で盛り込む。 家電のようにおしゃれでなく、国家を支えるほどの規模でもない食品産業であるが、メイド・イン・ジャパンであることに違いはない。 だから、食品業界全体の規模と地位を高めるべく、逆襲のプロデューサーを目指す所存なのである。
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