600.2012年大団円(2012.12.24掲載)
今年一年の総括として、SMBCコンサルティング発表の2012年ヒット商品番付を見た。 東の横綱がノーベル賞を受賞した山中教授の「iPS細胞」で文句なし。今後の医学や創薬への発展を考えると、ビジネス的にも宝の山である。西の横綱が5月にオープンした「東京スカイツリー」で、5日間で113万人の来場を記録。東の大関が10月にリニューアルした「東京駅」。こちらは駅周辺の再開発効果もあって、乗降客が4割増えた(西大関は該当なし)。 これら上位を見渡してみると、「原点回帰」というキーワードが見えてくるではないか。 秋葉原や渋谷、築地などの新スポットに押されていた東京観光だが、基本は皇居と東京タワーと浅草であり、スカイツリーと東京駅はまさに観光旅行の原点回帰。 そう考えると、細胞の初期化を肝とするiPS細胞も、あらゆる細胞に分化が可能な状態に戻すのだから、れっきとした原点回帰に違いない。 同様に関脇以下を見てみる。 西の関脇「LCC」は、目的地にできるだけ安く早く着くという交通の原点に戻る商品であり、東の小結「マルちゃん正麺」も美味しい麺というラーメンの基本に立ち返った。 さらに、前頭筆頭の「ロンドン五輪」は国威高揚の原点であり、前頭2枚目の「フィトカットカーブ」は切れ味というハサミの原点を追求した。そして、前頭3枚目の「塩こうじ」は製造工程的にも味噌の原点だ。 ならば、だしの原点は何か。 遙かモルジブから日出る国にかつお節が伝来したのは室町時代末期。その後、日本人の叡智を得て、江戸元禄期に枯節という日本独自のかつお節が完成した。枯節はかびの力で日持ちが良くなるため、冷蔵庫がない時代でも遠方までの流通が可能となり、全国に広がった。 これがだしの原点。 枯節のランクインを願いつつ、2012年大団円とさせていただきます。
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