602.引き出し(2013.1.14掲載)
これまで、接待や会合の席で客人と話を合わせるため、できるだけたくさんの世代別引き出しを持つよう精進してきたつもりである。 例えば70〜80歳のテッパンネタは、戦争、旧学制、洋画等。「1942年の山下中将シンガポール陥落で提灯行列が出た」とか、「東京の旧制一中が日比谷高校、大阪の一中が北野高校、鹿児島が鶴丸高校」てな感じの振りで、老獪トークののろしが上がる。 60〜70歳は、学生運動、演劇、昭和歌謡等。「60年安保で亡くなった共産主義者同盟(ブント)の東大生樺美智子女史を追悼」しつつ、「1959年の第1回レコード大賞受賞曲、水原弘の『黒い花びら』をカラオケで熱唱」するのである。 50〜60歳。これは近い世代だから話が早い。先日も、早期定年の退職金で700万円のオーディオセットを買ったという得意先の部長と、アンプ談義で盛り上がった。 ちょうど筆者が中学坊主の時にオーディオブームがあり、買いもしないのに今は倒産してしまったサンスイやナカミチのカタログに目を凝らしていたことを思い出す。 で、当時の夢を実現したオーディオ部長に、700万円の音質について尋ねてみた(スピーカーケーブルだけで150万円したらしい)。 「クラシックの生演奏を100点とした場合、これまでの安オーディオが10点で、700万円のセットが20点です」 「え、たったの20点?」 「はい、やはり生音にはかないません」 「(もったいないとは言えず)ほぉーっ」 話を会話ネタに戻して40〜50歳。この世代以下から頻出してくるのが、マンガ、アニメ、ゲーム。実は、ここが最大の急所なのである。 小生、マンガは「嗚呼!!花の応援団」を最後に他を読んだことがなく、アニメは「オバケのQ太郎」、ゲームは「スペースインベーダー」で止まってしまっている。これはかなりまずい。世界を席巻する日本のサブカルチャーを知らずして、若年層の心は掴めない。 よって、今夜から先達に勧められたマンガ「宇宙兄弟」に取り掛かり、サブカルチャー克服を新年の抱負とする所存なのである。
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