603.パン屋のテラ銭(2013.1.21掲載)
昨年末も夢は叶わなかったが、年末ジャンボ宝くじを購入するたびに、テラ銭(主催者側の取り分)の多さに異議を唱えるのが年の瀬の常となっている。 例えば、連番で1000万枚購入すると全ての当選番号が揃うが、この時の購入金額が30億円で当選金は14億円。つまり、テラ銭として16億円(53%)が抜かれることになる。 このテラ銭のうち12億円(40%)が公共事業に使われるから単純比較はできないが、競馬(25%)、パチンコ(12.5%)、ルーレット(5%)、家庭麻雀(0%)と比べた時の「ぼったくられ感」は否めない。 結局、「夢が買えてお国のためになったのだから」と自らを納得させて、300円を換金する年始めなのである。 ところで、テラ銭を企業経営に当てはめると粗利(売上総利益)ということになる。経済産業省の発表によると、業態別の平均粗利率は、メーカー22.3%、問屋11.8%、小売店27.6%。つまり、売価100円の商品で計算すると原価が50円になり、メーカー14円、問屋9円、小売27円の粗利が得られる。 このテラ銭でみんなメシを食っているのだ。だから、いかに粗利率を上げるかが肝要。メーカー、問屋、小売が一体化したユニクロの粗利率51.2%が、いいお手本である。 身近なところにもお手本はある。それは街のパン屋さん。パン屋さんも、メーカー、問屋、小売が一体化したスタイルで62%の粗利をかせぐ(中小企業庁調べ)。 100円のパンを売って、62円のテラ銭。拙宅の近所にもパンの繁盛店が数軒あるが、確かに羽振りがいい。 ユニクロや宝くじより高いテラ銭に納得した今日この頃である。
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