610.なぜ理系には男子が多いのか(2013.3.11掲載)
理系を進路として選択する女子「リケジョ」が増加中とはいえ、理系はまだまだ男性社会である。では、なぜ理系=男子なのか。 英ケンブリッジ大学のコーエン博士の論文に、この謎を解くカギが書かれていた。キーワードは「自閉症」。ここで、「理系は自閉症になりやすく自閉症は男子に多い。だから理系には男子が多い」という仮説を立ててみた。 まず理系と自閉症から検証する。英国での2000家族を対象とした調査によると、自閉症の子を持つ父親の12.5%が技術者で、自閉症でない子の父親に技術者は5%しかいなかった(自閉症は遺伝性が強い)。 また、ケンブリッジ大学の数学科で、自閉症と診断された学生は文系学生の9倍。米国シリコンバレーでの自閉症発生率は平均の10倍。オランダのシリコンバレーと呼ばれるアイントホーフェンでは、他地区の3倍だった。 なるほど、自閉症は理系に多い。そして、男子の自閉症発症率は女子の4倍と高い。だから理系には男子が多い。うーん、まだちょっと納得がいかない。 そこで、次に「体系化」というキーワードで理系と自閉症と男子をつないでみる。 自閉症児が示す行動は、「時刻表を記憶する」「恐竜や自動車の名前を全て覚える」「家中の電気のスイッチをオフで揃えようとする」「台所から水を流し、急いで外に出て排水溝に流れ出る水を見る」等さまざまだが、これらの行動は全て「体系化」の例といえる。 ここでいう「体系化」とは、物事を解析して1つのシステムにまとめようとする衝動のことで、機械的システム、自然のシステム、数学的システム等がある。おー、なんだか理系っぽい思考じゃないか。多くの理系男子は幼少時に「機械いじり」「ブロックの組み立て」「昆虫採集」「ミニカー収集」等の体系化作業を経験している。なんとなく、理系と自閉症と男子がつながってきた。 さらに最新の研究では、男性ホルモンであるテストステロンが体系化や自閉症に関与している可能性が高いことがわかっている。 とすると…。理系は自閉症になりやすく自閉症は男子に多いというより、男子は自閉症になりやすく自閉症は理系的思考、よって「男子は理系が多い」という結論に行き着いたのである。
|
column menu
|